カドミウム 吸着触媒
品番 F-09
品名 Nano 二酸化マンガン(カドミウム吸着触媒)
硝酸処理品
Technical information
カドミウムは、他の重金属に比較して沈澱物を形成するpHが高い元素です。このため、一般的な水処理施設において沈澱処理法を用いてカドミウムを水中から除去すると、必然的に処理後の水は高pHとなり逆中和の施設が必要になります。また、処理水に多量の鉄分が含まれている場合には中和沈澱処理法によってカドミウムは鉄塩と共沈することで沈澱除去されます。しかしながら、鉄分をあまり含まない処理対象水にカドミウムが低濃度で含まれるような場合には、中和沈澱処理法ではカドミウムを除去しきれず、環境基準値:0.05mg/Lを満たすことは困難になります。
FSLは、pH7の中性条件下で、水中のカドミウムに対して効果的な吸着性を示す酸化マンガン吸着剤を推奨します
図1に、市販されている吸着剤とFSLのカドミウム吸着剤を同条件下で試験した結果得られた吸着速度の違いを示しました。青いカーブで示されたFSLのカドミウム吸着剤が市販のものに比べて早い吸着速度を有する結果が得られています。
図2には、FSLのカドミウム吸着剤がカドミウム濃度の異なる水に対して示す飽和吸着量の濃度依存性を示しています。1gの本吸着剤あたりに最大で約45mg/gのカドミウムが吸着するという結果が得られています(図1および2の実験では、カドミウム水溶液のpHを水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.5〜7の範囲に維持)
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中性 pH7でカドミウムを吸着除去
図 1 カドミウムの吸着除去速度(青)
図 2 カドミウム吸着の濃度依存性
図 4 実際の鉱山廃水に対する適用結果
図 3 吸着したカドミウムの回収性
図3には、吸着剤に吸着したカドミウムが少量の希硝酸の添加によって吸着剤から脱着して希硝酸中に濃縮回収できることを示す溶離曲線を載せました。カドミウムを脱着した後の本吸着剤は、カドミウムに対する吸着能を回復します。図3では、カドミウム吸脱着実験を2回繰り返した場合におけるカドミウムの溶離曲線を吸脱着の1回目、2回目に対応して示しました。各吸着実験では、カドミウム初期濃度30mg/Lの水溶液1L(水温20℃)に、本吸着剤1gを懸濁させて2時間撹拌した後、同水溶液から吸着剤を濾過回収しました。各脱着実験では、水溶液から回収された吸着剤に対して希硝酸を20mLづつ添加することで、吸着したカドミウムを希硝酸中に回収することが可能です。
図4には、カドミウムを0.11mg/Lの濃度で含む実際の鉱山から排出したpH6.9の廃水1Lに対して1gの本吸着剤を添加した際のカドミウム濃度の時間変化を示しました。約2時間半のスタラーによる攪拌によって、カドミウム濃度は環境基準値である0.05mg/L以下に低下しています。