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炭素原子の列び方、つまり結晶構造が異なると、ダイヤモンドやグラファイト、炭のように、全く物理的・化学的性質は異なることが知られています。
二酸化マンガンにも種々の結晶構造が存在し、それぞれ特有の性質が存在します。二酸化マンガンの結晶構造は、マンガン原子1つを酸素原子6つが取り囲んだ八面体をユニットとし、このユニットがいろいろな配列で積み重なることで、α, β, γ, ε, R, λ型など多様な結晶構造をつくります。
例えば、現代では毎年200000トンを超える二酸化マンガンが電池材料として消費されていますが、一般に電池材料として使われている二酸化マンガンはガンマ(γ)型の結晶構造をもっています。ガンマ型の主相はラムズデライト相(R相)ですが、βとε相が局所的に混晶しています。
FSLでは、二酸化マンガンの各結晶構造を高純度につくることで、それぞれの結晶構造に特有の物理的・化学的性質を最大限に発揮させる技術を磨いてまいりました。
FSLが開発したR型二酸化マンガンは、ラムズデライト相(R相)の結晶純度を示すJahn-Teller distortion factorの最高値が 0.957。 この値は、純度100%を示す0.95に極めて近い高純度です。一般に、電解法(アノード電流密度12A/m2, 9×104C)で14日程かけて得られるR型二酸化マンガンの純度が0.96以上であることを考慮すると、FSLの合成方法は短時間に極めて高純度なR型二酸化マンガンをナノスケールで合成することを可能にしました。不純物であるβおよびε相をほとんど含まない高純度のR単相を、反応性が高いナノスケールで実現したFSLのR型二酸化マンガンには、種々の応用性が期待されています。
FSL R-MnO2 の透過型電子顕微鏡写真を下に載せました。R型二酸化マンガンは、その結晶構造が Orthorhombic(Pnma)に分類され、ロッド状に結晶成長します。

FSL R-MnO2
