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  1. 箇条書き項目 放射性物質による環境汚染対策は、除染の対象物や汚染の原因となっている放射性核種の種類によって大きく異なります。ここでは、鉱山の選鉱技術として現在も使われ続けているフロテーション法を、水の除染に適用する手法について紹介します。特に、処理対象となる汚染水が膨大な量である場合に、除染技術に要求される三要素は多核種に対する有効性、処理速度、減容率であると言えます。これらの内、ひとつが欠けた技術を除染現場に適用しても、除染する核種毎に別種の技術が必要になる事汚染水の発生量に対して処理が追いつかない事汚染水の処理後に膨大な放射性廃棄物が発生する事など、多額の費用をかける効果が得られないばかりか、単なる移染にすぎない徒労に終わってしまいます。フロテーション法には、分離対象に応じて多くの変法が存在しますが、ここで紹介する手法は「共沈フロテーション法」という手法です。まず、水中にイオンやコロイド状態で存在する放射性核種を少量の凝集沈澱試薬で捕捉・コロイド化し、次に石鹸などの界面活性剤を添加して放射性核種を含んだコロイド界面を疎水化します。最後に処理水槽の底部から気泡を導入し、気泡にコロイドを吸着させて一気に浮上分離する技術です。下に水中からセシウムを分離する本手法の概念図および基礎実験の動画を載せました。本手法は除染対象の放射性核種に応じて適当な薬品を選定しpH調整することで、セシウムやストロンチウムに限らない多核種に対応することが可能です。加えて、単純な凝集沈澱法と比べて汚染水から回収される放射性スラッジの量を200分の1以下に抑えることができる手法です。

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  1. 箇条書き項目 共沈フロテーション法 による

                放射性汚染水の処理

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STEP 3 〜

STEP 4


の実施例








非放射性セシウムイオンをフェロシアン化鉄で共沈フロテーションによって水から分離

FSLが提案する下水処理汚泥の安全な処理方法
多核種を含む放射性廃液処理への適用

放射能が高いために行き場を失って大量に保管されている下水処理場の汚泥

湿式・乾式フィルターを併用
安全な減容処理
  1. 箇条書き項目 右図に多核種(ストロンチウム、イットリウム、セリウム、ルテニウム、ロジウム、ジルコニウム、ニオブ、セシウム)を含んだ混合廃水に本手法を適用した結果を示しました。各処理ステージにおいて適切な共沈試薬を添加してフロテーションした結果、廃水からの放射線強度がステージ毎に減少したことが分ります。共沈試薬としては水酸化第二鉄、リン酸カルシウム、およびフェロシアン化コバルトをいずれもppmオーダーの濃度で添加しました。各ステージで添加した共沈試薬と界面活性剤が効力を発揮するpHは、除染対象の各種と添加する薬品の組み合わせに固有です。このため、pHを各ステージの最適値に調整してフロテーションすることで、除染効率が4万Bq/minに達することを確認しています。

  1. 箇条書き項目 下水処理場において発生している放射性汚泥を安全に処理するために、既設のベルトプレス機などで汚泥を脱水する前にシュウ酸などの希酸を添加しておき、脱水処理の際に汚泥が含む放射性物質の大部分を抽出し、その抽出液を共沈フロテーション法で処理することを提案します。この湿式の処理法であれば、放射性汚泥を直接焼却による放射性物質の二次拡散の可能性を大きく低減することができます。

実用化されているフロテーション装置:実際の染色廃水処理や新聞紙のリサイクル過程の脱インキ処理においては、上図の処理フロー3および4で用いるフロテーション装置が、プルシアン・ブルーなどの染料を廃水から高速分離除去するため既に実用化されている。同装置の防ガスカバーで覆われた水面に浮上させた放射性スラッジを自動でかき取り、鉛製の配管を通じて保管容器に移すことで、放射性汚染水処理に適用が可能です。

実際の除染現場においてはセシウムだけではなく、多核種に対応できる手法がもとめられています

  1. 箇条書き項目 生活圏に水道水を供給する浄水場においても河川等の水源から取水した水の濁りを除去するために使用された凝集沈澱剤の汚泥から放射能が検出され、その結果、汚泥の処理に支障をきたしているケースが報道されています。セシウムは河川水等の水中を、濁りの元である細かい粘土や砂の微粒子に非常に強く吸着された状態で移動しています。このため、浄水場において濁りの除去に使用された凝集沈澱汚泥から放射能が検出される理由になっています。また、通常の浄水施設では水道水をつくるために、上記の凝集沈澱処理に加えて、その後段では砂濾過処理も実施されています。このため、正常な運転とメンテナンスがなされている浄水場から供給された水道水にセシウムが混入してくることは考えにくいと言えます。また、ストロンチウムに関しては、セシウムとは異なり粘土や砂の微粒子に吸着されることはありませんが、やはり浄水場の凝集沈澱処理において共沈除去されていると考えられます。下図に、ストロンチウムの凝集沈澱処理に関する試験結果を示しました。同試験では、無担体ストロンチウム(粘土や砂に吸着されておらず、イオンとして水に溶けた状態のストロンチウム)を水道水をベースにして汚染水を模擬的に作成し、これに凝集沈澱剤を50mg/Lの濃度で添加した条件下で、pHをパラメータとして同汚染水から除去されたストロンチウムの割合を調べています。


















  1. 箇条書き項目 上記の本実験では、ストロンチウム濃度を370000Bq/Lと非常に高く設定しましたが、現実の公的モニタリングからはストロンチウムによる水道水の汚染は確認されていません。よって、例え河川水中にストロンチウムによる汚染が生じていても、本実験の設定値よりも汚染濃度の値が低いと予想できます。このため、ストロンチウムは浄水場の凝集沈澱処理によって除去されており、水道水のストロンチウムによる汚染は防止されているものと考えられます。ただし、各浄水場における凝集沈澱剤の使用濃度は取水する各水源の水の濁度によっても変わるため、本試験の使用濃度である50mg/Lを下回る場合も存在するかもしれません。また、凝集沈澱処理におけるpHが7と中性近辺の場合は、上図の様にストロンチウムの共沈率は明らかに低下します。 したがって、放射性物質による土壌の汚染が確認されている地域においては、各浄水場における取水源の汚染状況を正確に把握して、浄水場の凝集沈澱処理における薬品濃度やpHを調整すること、および砂濾過の濾床からの放射能をモニタリングすることを通じ必要に応じて通常よりも早めに濾床の砂交換を実施することなど、水道水のストロンチウム汚染を事前に予防するために充分な対策を実施することが求められます。


しかしながら、陰イオンのヨウ素は通常の浄水場が備えている処理設備では除去できません。したがって、今後、放射性プルームを含む降雨があった際には、水道水のヨウ素による汚染に対して特に留意する必要があります。また、土壌の汚染が確認されている地方において、元々の水源がきれいなために水質検査が充分実施されていない井戸水や天然水を利用するにあたっては、汚染の有無や程度を把握する継続的なモニタリングが必要と言えます。



H. Koyanaka, et. al, Treatment of radioactive effluents using flotation of co-precipitation, 環境放射能除染学会, 第2回研究発表会, Session 11-2, 東京,(2013)


J. Shibata, N. Murayama, T. Tanaka, H. Koyanaka, S. Koyanaka, Dynamics of adsorption for removal cesium from radioactive effluent, Chemical Engineering Special Issue, Vol. 39,1,pp. 1-7,(2013)


  1. H.Koyanaka, Environmental Pollution with Radioactive Elements, and Countermeasures after The Terrible East Japan Earthquake, Chapter 3 Cleaning technology of radioactive elements from polluted waters using a mining technologies, NTS Publisher, Mar. 21, (2012)


Y. Koyanaka, Treatment of the Radioactive Sludge Produced by Precipitate Flotation Method, Annual Reports of the Research Reactor Institute, Kyoto University, Vol. 3,  pp.147-152, (1970)


  1. Y.Koyanaka, Treatment of Radioactive Waste Regenerant of Ion Exchange Resin by Preferential Flotation Method, Journal of Nuclear Science and Technology, Vol. 6, No.10, p.607-608, (1969)


Y. Koyanaka, フローテーション法による核燃料再処理廃液の処理に関する基礎的研究,日本原子力学会誌, Vol. 11, No. 4, pp.198-205, (1969)


Y. Koyanaka, Untersuchungen über die Trennung von Spaltprodukten nachder Flotationsmethode - Die Abtrennung von 95Zr-95Nb , KFK-tr-242, Kernforschungsyentrum Karlsruhe  Literaturabteilung, (1966)

  

Y. Koyanaka, Untersuchungen über die Trennung von Spaltprodukten nachder Flotationsmethode - Die Abtrennung von 137Cs KFK-tr-228, Kernforschungsyentrum Karlsruhe  Literaturabteilung,  (1966)


水道水の安全性についての弊社の見解

MS型浮遊選鉱機による基礎実験











最新のマイクロバブル法を併用すれば、いっそう処理速度の向上が期待できる

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結果として、ストロンチウムは左図で、- -△- - で示した様に、日本の浄水場では一般的な凝集沈澱剤であるPAC(アルミの塩)を添加し、その処理水pHを8.5〜9.0の弱アルカリ性に調整することで、370Bq/mLと高い濃度であっても約70%が処理水から除去された結果が得られています。また、水酸化第二鉄を用いると、図中、ー○ーで示した様に、pH8.5〜9.0において約70〜90%が除去されることが分ります。ここで、日本の飲料水に関するpHは5.8〜8.6と定められていますので、浄水処理においては弱アルカリ側で凝集沈澱処理を実施し、ストロンチウムの除去効果を高めることが水道水の汚染を防ぐために効果的であると言えます。

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多核種を含む放射性廃液に対するフロテーション処理による除染効果

水中から放射性物質を高速除去する技術