Technical information
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FSLが特許をもつパラジウム/酸化マンガン触媒は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)のアノード触媒として優れた効果を発揮します。SOFCアノード触媒として、鉄微粒子に30wt%でPd/MnO2を添加することによって、燃料電池の性能が既存の白金触媒と比較して大幅に向上する結果を、東京理科大学との共同研究で確認しています。その研究成果は、電気化学会や米国電気化学会において発表されており、原燃料であるジメチルエーテル(DME)やメタンに対する改質能力が高く評価されています。ジメチルエーテルはディーゼル燃料としても使えるため、ディーゼルエンジンと燃料電池のハイブリット化に適した燃料です。
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FSLでは、固体酸化物型燃料電池の性能向上に関して、東京理科大学理工学部工業化学科 小浦研究室、および東京理科大学基礎工学部 竹内研究室と、これまで10年間にわたって共同研究を実施してきました。その成果の例を以下に示しました。図a)では、作動温度600℃における燃料電池特性を、アノード触媒として用いた鉄微粒子とPd/MnO2 触媒の配合比を変えて比較した結果を示しています。図中、Fe-Pd/MnO2 (30wt%) ▲の最大電力密度が58.8mWcm-2に達しており、同SOFCシステムでアノード触媒として、鉄、白金、ニッケル、銅を採用した結果(図 b参照)を大きく上回っていることが分ります。また、Pd/MnO2 触媒では、触媒反応から一酸化炭素が発生しないため、白金触媒では耐久性上の大きな問題となっている触媒能の劣化が極めて少ないことが特徴です。